YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg

開催日時:5月10日(金)〜12日(日)
開催場所:京都府京丹後市
スペシャルステージ本数:6本
スペシャルステージ総距離:40.34km
ラリー総距離:181.01km
SS路面:ターマック
SS路面状況:ドライ/ウエット
ポイント係数:0.8

2024年シーズン全日本ラリー選手権第4戦「YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg」が、5月10日(金)~12日(日)にかけて、京都府京丹後市を拠点に開催された。トップカテゴリーのJN-1クラスはシュコダ・ファビアR5をドライブする新井大輝/松尾俊亮が優勝。2位にはトヨタGRヤリス・ラリー2の勝田範彦/木村裕介、3位にも同じマシンをドライブする奴田原文雄/東駿吾が入った。

2週間という短いインターバルで開催されてきたターマック3連戦を締めくくるのは、日本海を望む丹後半島を舞台とするラリー丹後。3月のラリー三河湾で幕を上げた2024年シーズンは、早くも折り返しを迎えることになった。

ラリールートは、SS間のリエゾンにおいて地域から競技車両通過の同意が得られず、予定していた「Nariai」の使用を断念。走行距離が大幅に短縮された結果、2日間で8SS、61.88㎞が設定された。ラリー初日は「Oouchi Reverse(4.56km)」、「Tsunotsuki(9.28km)」、「Tsunotsuki Reverse(12.26km)」の3SSを午前中に走り、サービスを挟んで「Oouchi Reverse」をリピートする4SS、30.66kmとなっている。

レグ1

例年よりも1カ月早い開催ということもあり、サービスパークが置かれた「京都府丹後文化会館駐車場」は快晴が広がり、コンディションはドライとなった。

オープニングのSS1、前戦久万高原においてSS2でコースオフを喫して戦列を去った奴田原がベストタイム。こちらも久万高原をトラブルで走り切れなかった新井大輝が0.5秒差のセカンドベストをマークした。1.5秒差の3番手タイムに勝田、2.6秒差の4番手タイムに福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)、2.8秒差の5番手タイムで田口勝彦/北川紗衣(トヨタGRヤリス・ラリー2)が続く。SS2は新井大輝が勝田に1.0秒差、奴田原に2.4秒差をつけるベストタイムをマークし、奴田原に合計タイムで1.9秒差をつけて首位にポジションを上げた。

この日最長の12.26kmを走行するSS3、スタートから1.5km地点付近で山火事が発生。8番手スタートの眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスDAT)が発見し、トラッキングシステムでSOSを発報。後続の鎌田卓麻選手/松本優一選手(スバルWRX STI)、柳澤宏至選手/竹下紀子選手(トヨタGRヤリスJP4)、今井聡選手/高橋芙悠選手(シトロエンCS3R5)とともに消火活動にあたることになった。このステージは新井大輝が奴田原に3.4秒差をつける連続ベストを刻んだが、消火活動によるステージの中断で影響を受けたクルーにはノーショナルタイムが与えられた。新井大輝は、リードを5.3秒差に広げて最初のセクションを終えた。3番手の勝田が6.3秒差、4番手の福永が11.8秒差と、その差は少しずつ拡大している。なお、このステージでは田口がオーバーペースから側溝に左サイドを落とし、足まわりにダメージを負っている。

サービスを挟んだ午後のセクションは、4.56kmのSS4「Oouchi Reverse 2」1本のみ。奴田原が新井大輝を0.1秒凌ぎ、午前中に続くベストタイム。首位新井大輝との差を5.2秒に縮めてこの日を終えた。8.5秒差の総合3番手に勝田、12.4秒差の4番手に福永。5番手は、2戦連続であと一歩表彰台に届かなかった新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)、中間サービスでマシンの修理に時間を要してサービスアウトが遅れたことで120秒のペナルティを受けた田口が大きく順位を落とし、鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)が6番手に順位を上げている。

前戦の悔しさを払拭するようにトップを快走した新井大輝は「SS2とSS3の間に2時間以上の待ち時間があったのでタイヤが冷えてしまい、SS3は最初の数コーナーは怖くて踏めなかったほどです。ここは調整しながら走りました。明日は雨の予報も出ていますが、このマシンでウエットを走ったことがないので、どうなるかですね」と、慎重に語る。首位には届かなかったものの、2本のベストタイムをマークした奴田原は「ミスしないように走り切ることだけを考えました。明日もこのままミスしないように頑張ります。マシンも特に問題がないので、このまま行く予定です」と振り返った。

JN-2クラスは、唐津と久万高原を制した三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)が、SS1とSS2で連続ベストを刻み、トップに立つ。2番手に小泉敏志/村山朋香(トヨタGRヤリス)、3番手にはMORIZO Challenge Cupで3連勝中の山田啓介/藤井俊樹(MCC:トヨタGRヤリス)が続く。山火事によってノーショナルタイムが与えられたSS3を挟んだSS4は、塙将司/西村正義(トヨタGRヤリス)が、自身初のベストタイム。首位の三枝は2番手の小泉に7.0秒差をつけて初日を終えた。小泉の後方には、首位三枝から7.2秒差で山田、8.2秒差で塙が続いている。

ドライとなった初日を首位で折り返した三枝は「距離が短いなか、大きな差はつけられませんでしたが、良い順位をキープできて良かったです。ただ、最後のSS4はシフトミスもあって、4番手と冴えない走りになってしまいました」と、反省の弁を口にした。2番手の小泉は「丁寧にロスなく走れた気がしますが、自分の中ではまだ攻め切れていない感じがしています。明日は雨のようですが、ウエットはあまり得意ではないので、まずはタイムロスなく走りたいです」と、雨が予想されている最終日に向けて慎重にコメントした。

トヨタGR86/スバルBRZによって争われるJN-3クラスは、長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)が、ノーショナルタイムとなったSS3以外の全ステージでベストタイムを並べ、2番手の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)に6.3秒差の首位。13.2秒差の3番手に曽根崇仁/竹原静香(トヨタGR86)、14.8秒差の4番手に上原淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ)と、ベテランのふたりが続く。

首位を快走した長﨑は「フィーリングはあまり良くないんですが、できる限りのことをして、良いタイムで上がってくることができました。今日は3本しか走っていませんが、すべてのSSでベストをマークできたので、結果としては良かったです」と、コメント。全SSで長﨑の先行を許してしまった山本は「タイムが伸び悩んでいて、長﨑選手に1キロあたり0.5秒ずつくらい負けている状況です。セットアップを変えて良い方向に進んでいるんですが、なかなかタイム差が縮まりません。もっと色々と考える必要がありそうです」と、首を傾げる。

スズキ・スイフトスポーツによって争われるJN-4クラスは、SS1でベストタイムを刻んだ高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)がトップに立つ。SS2は西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)がベストを獲り返すが、高橋も0.3秒差のセカンドベストでまとめ、首位をキープ。このステージでは前戦久万高原を制した現王者の内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)がスピンを喫して10秒近くをロスし、6番手まで順位を落とした。ノーショナルタイムとなったSS3を挟んで、SS4は内藤がベストタイムをマーク。この結果、高橋が西川に5.9秒差をつけて初日を首位で終えた。3番手の鮫島大湖/船木佐知子(スズキ・スイフトスポーツ)、4番手の前田宜重/岡田誠(スズキ・スイフトスポーツ)、5番手の黒原康仁/石田一輝(スズキ・スイフトスポーツ)、6番手の内藤までが僅差で続いている。

ベストタイムは1本に留まったものの、首位をキープした高橋は「丹後は久しぶりの参戦なので、序盤は様子を見ながらの走りになりました。最後のステージはもう少しいいタイムで走る予定でした。シフトミスがなければ、内藤選手くらいのタイムは出せていたはずです」とコメント。僅差の2番手につける西川は「まだ6秒くらいの差なので、十分逆転の可能性があるはずです。明日は天候が荒れてくれれば、チャンスがあるかもしれませんね」と、最終日に逆転優勝を狙う。

JN-5クラスは、優勝候補のひとりだった河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ)が、SS1でマシンをヒットし、トップ争いから早々に脱落。大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が、この日行われた全SSでベストタイムを並べてトップに立った。9.9秒差の2番手は、新体制で全日本ラリーに帰ってきた吉原將大/伊豆野健太(トヨタ・ヤリス)。体調不良の松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)は19.0秒差の3番手と、優勝争いから大きく遅れている。

盤石の展開でラリーをリードした大倉は「ベストタイムを3回も獲得できました。クルマもタイヤも機能してくれたので、それほど攻めている感じはないんですが逃げ切れましたね。この路面がクルマとタイヤに合っている気がします」と、笑顔で振り返った。2番手につける吉原は「今回、僕が社員として勤めるアップガレージとして、全日本ラリー選手権の初陣になります。コ・ドライバーの伊豆野選手とは、今回初めてコンビを組みました。マシンも一昨日シェイクダウンした状態です。バタバタでしたが、その状況の割には悪くない感じです」と、コメントしている。

JN-6クラスは、シーズン3連勝中のチャンピオン、天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が2本のベストタイムをマークし、今回もトップを走行。ただ、SS2でベストタイムを刻んだ清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)が、4.8秒差の2番手につけている。3番手は開幕戦三河湾でのクラッシュにより、唐津と久万高原を欠場した海老原孝敬/蔭山恵(ホンダ・フィット)がつけた。

首位を走行する天野は「唐津からの3連戦は、ここも含めてハイブリッドに厳しいですね。タイヤの空気圧や走らせ方など、良いバランスを見つけるのがすごく難しい。限られたエネルギーをどう振り分けるのか、マネージメントに頭を悩ませています。どうすれば速くなるのか、頭がずっと回っている感じです」と、厳しいコメント。天野と勝負できるタイム差で初日を終えた清水は「ドライビングがだいぶ良い感じになってきました。明日はどんなコンディションになっても、道から外れないよう、ベストを尽くします」と、笑顔を見せている。

レグ2

ラリー初日のSS3「Tsunotsuki Reverse 1」で火災が発生し、ステージが中断。主催者は公式通知を発行し、修正した2日目のアイテナリーとともに「山林火災は鎮火はしたが、現場検証等が行われるためSS6『Tsunotsuki 2』とSS7『Tsunotsuki Reverse 2』をキャンセルとする」と発表した。修正後のアイテナリーでは、SS5「Oouchi 1(4.84km)」とSS8「Oouchi 2」を、45分のサービスを挟んで走行。この結果、この日のステージ走行距離は当初予定されていた31.22kmから、9.68kmと大幅に短縮されている。

この日の予報は雨。ただ、朝のサービスパークに降雨はなく、多くのクルーがドライタイヤを選んでサービスを後にした。オープニングのSS5、首位の新井大輝/松尾俊亮(シュコダ・ファビアR5)は、勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス・ラリー2)に1.1秒差のベストタイムをたたき出す。このステージ、ウエット寄りのセットアップで走った奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス・ラリー2)は4.1秒差の5番手タイムに沈み、首位新井大輝との差は9.3秒に拡大。逆に総合3番手の勝田が0.3秒差にまで迫ってきた。

サービスを挟んだ午後のセクション、予報どおりに雨が降り始め、路面は少しずつ濡れ始める。SS5をリピートするSS8の距離はわずか4.84km。首位の新井大輝はウエットタイヤを選び、ベストタイムでラリーを締めくくった。

今季からファビアR5にマシンをスイッチし、第2戦唐津以来となるシーズン2勝目を飾った新井大輝は「最終ステージはスタートから2kmくらいで雨が降ってきました。色々とあったラリーだったので、普通の勝利よりも嬉しさがあります。今回は何事もなく無事に帰ってこられました。ただ、前回のトラブルもあり、自分たちはフルポイントを獲るしか選手権タイトルを狙うことができません」と、タイトル獲得に向けて表情を引き締める。

奴田原と勝田による2位争いは、最終SSでセカンドベストを決めた勝田が奴田原をわずか0.7秒上まわり、0.4秒差で逆転。最後の最後で2位表彰台を手繰り寄せた勝田は「奴田原選手と僅差になりましたが、勝てて良かったです。最後は距離が短くなりましたが、自分なりに納得のいく走りができました」と、笑顔を見せた。前日は僅差の首位争いを展開しながらも、最終日にポジションを落とした奴田原は3位。「今日はセッティングの選択を誤りました。ウエット寄りのセッティングを選んだことがすべてです。特に路面が乾いていたSS5で決まってしまいましたね」と、悔しさを露わにしている。

福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)は、トップ3のペースについていくことができず、18.5秒差の4位。40.0秒差の5位に新井敏弘/井上草汰(スバルWRX S4)、1分5秒9差の6位に鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)が入っている。

JN-2クラスは、首位の三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)が、7秒のアドバンテージを持ってスタートしたが、2番手の小泉敏志/村山朋香(トヨタGRヤリス)と3番手の塙将司/西村正義(トヨタGRヤリス)が猛追。SS5は小泉がベスト、塙がセカンドベストを刻み、首位三枝との差をそれぞれ3.0秒差、4.8秒差にまで縮めてみせた。最終のSS8は塙が小泉に1.0秒差のベストタイム。一方の三枝は、このステージは5番手タイムに終わったが、小泉を0.7秒、塙を1.5秒凌ぎ切り、トップを守ってフィニッシュ。唐津から続く連勝記録を3に伸ばした。2位に小泉、3位に塙が続き、自身初めて全日本ラリーでの表彰台に上がっている。4位でラリーを走り切った山田啓介/藤井俊樹(MCC:トヨタGRヤリス)はMORIZO Challenge Cupを制してMCCでの4勝目を挙げている。

ふたりの追い上げをかわし3連勝を決めた三枝は「もう最後は心臓がバクバクでした。小泉選手が凄まじいプッシュで追い上げてきて、7秒差あったのが0.7秒差にまで迫られてしまいました。最終SSはフィニッシュ後に小泉選手を待って、タイムを聞いてようやくホッとしました。まだまだ要修行です」と、安堵の表情で語る。0.7秒差で優勝を逃した小泉は「めちゃくちゃ悔しいです。これまでウエットは苦手だったんですが、それでもコンマ7秒まで追いつけました。チームが自分の意図するセッティングに合わせてくれたんですが、ちょっと足りなかったですね」と、悔しさを露わにした。

JN-3クラスは、首位の長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)がオープニングのSS5でベストタイム。ウエットとなったSS8は曽根崇仁/竹原静香(トヨタGR86)が一番時計をマークしたことで、全SS制覇こそ叶わなかったものの、長﨑が2位の山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)との差を7.4秒に拡大し、第2戦唐津以来となるシーズン2勝目を飾った。3位には曽根、4位には上原淳/漆戸あゆみ(スバルBRZ)が入った。

今回の勝利とデイポイントを積み上げたことで、選手権リードを広げた長﨑は「(距離が短縮され)もっと走りたかったという気持ちがありますが、今回は距離に助けられた部分があったような気もします。最終SSもベストを獲得できれば全SSをベストで揃えられたので、そこは少し心残りです」と、笑顔で振り返った。思うようにタイムが伸ばせなかった山本は「大変なラリーでした。これだけ短いと、1秒がすごく大事になるので、その意味でも初日の最初のループがキモだったと実感しています。セットアップの方向性が見えてきたので、次は一段階上にいきたいです」と、モントレーでの挽回を誓う。

JN-4クラスは、オープニングのSS5で初日首位の高橋悟志/箕作裕子(スズキ・スイフトスポーツ)が、ガードレールにマシンをヒットし、フロントセクションとギヤボックスを壊してストップ。これで2番手につけていた西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)が首位に立った。最終のSS8を前に首位西川と2番手の前田宜重/岡田誠(スズキ・スイフトスポーツ)の差は3.2秒。3番手の鮫島大湖/船木佐知子(スズキ・スイフトスポーツ)、4番手の内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)も僅差で続く。雨が降り一部がウエットとなったSS8は、内藤が2番手以下を大きく引き離し全体でも12番手に入るタイムでステージを制し、一気に2位までジャンプアップ。トップの西川が1.5秒差で逃げ切り、嬉しいシーズン初勝利を手にした。内藤に抜かれたものの、前田は3位表彰台を手にした。

高橋のリタイアがあったとはいえ、待望のシーズン初勝利に西川は「最後に内藤選手から怒涛の追い上げをくらいましたが、なんとか逃げ切りました。ここまで追い上げられてしまったのは、タイヤ選択よりもドライバーの責任です。ここで勝てたことで、ようやくポイント的にも選手権を戦える状況になったと思っています」と、笑顔で振り返った。初日のスピンが響き、優勝を逃してしまった内藤は「ギリギリ届きませんでしたね。トップとの差を考えると、初日のスピンがすごく悔しいです。それでもシリーズ争いには残っていますし、次のモントレーも頑張ります」と、前向きに語った。

JN-5クラスは、初日首位の大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が、不安定な天候を受けてウエットタイヤで走行。ベストタイムこそなかったものの、2位の吉原將大/伊豆野健太(トヨタ・ヤリス)を抑えて、久万高原に続く2連勝を飾った。3位に松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)、最終SSでベストタイムをマークした嶋村徳之/小藤桂一(トヨタ・ヤリス)が4位に入っている。

SS1から一度もトップを譲ることなくシーズン2勝目を飾った大倉は「リードしている以上、リスクを負えないので、ウエットタイヤがベストだったと思っています。吉原選手や嶋村選手も速かったですし、松倉選手や河本選手もいる。JN-5は粒が揃っていて、すごく楽しいです。今回、クルマがコースの特性に合っていたようで、フルプッシュしなくても、いいタイムが出てくれました」と、勝因を分析した。最終日、ドライタイヤを履いて逆転を狙った吉原は「2本目は大倉選手がウエットで行っていたので、起死回生を狙ってドライで行きました。悔しさが残りますが、そんなに甘くないのはよく分かっています。今回、スタートまでチームには色々と助けてもらいましたし、チャンスがあるのであれば、良い形で返したかったです」と、悔し涙とともにチームへの感謝を語った。

JN-6クラスは、初日首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)を、SS5でベストタイムをマークした清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)が逆転。最終SSは天野がベストを獲り返すが、清水が4.4秒差で逃げ切り、1983年のDCCSウインターラリー以来となる全日本ラリー選手権勝利を決めた。3位には復活戦を表彰台で飾った海老原孝敬/蔭山恵(ホンダ・フィット)、4位は前戦に続いてホンダ・フィットで参戦した中西昌人/山村浩三が入っている。

絶対王者の天野を破り、待望の勝利を決めた清水は「83年以来の全日本ラリー選手権勝利になりました。やはり天野選手のような目標になってくれる存在が大きかったです。ラリーはこんなに面白いのに、多くの人に知られていないのが残念です。自分のYouTubeで、これからもアピールしていきます」と、満面の笑みで語った。2位に終わった天野は「SS5で、リタイア車を避けるためにマージンを取りすぎたのが敗因です。距離が短いラリーでは影響が大きかったですね。ステージがもう2~3本あれば獲り返せましたが、どうしようもないです」と、肩をすくめながらも、清水の勝利を笑顔で祝福した。

(RALLY PLUS)

総合結果

順位 クラス ドライバー/コ・ドライバー 車名 タイム
1 JN1-1 新井 大輝/松尾 俊亮 Ahead Skoda Fabia R5 27:25.4
2 JN1-2 勝田 範彦/木村 裕介 GR YARIS Rally2 27:35.9
3 JN1-3 奴田原 文雄/東 駿吾 ADVAN KTMS GRヤリスラリー2 27:36.3
8 JN2-1 三枝 聖弥/船木 一祥 名古屋スバル ラック DL WRX 28:37.2
15 JN3-1 長﨑 雅志/大矢 啓太 NTP NAVUL GR86 28:48.7
20 JN4-1 西川 真太郎/本橋 貴司 スマッシュDLモンスターitzzスイフト 29:09.5
29 JN5-1 ⼤倉 聡/豊⽥ 耕司 AISIN GR Yaris CVT 29:31.4
46 JN6-1 清水 和夫/山本 磨美 SYE YARIS HEV 30:23.7

注)クラス区分については全日本ラリー選手権の基礎知識をご覧ください。

参考総合結果表: リザルト(PDF) リザルト(Excel)

ご注意:ここに掲載の本レポートおよび結果表等はJRCA/RALLY PLUSが独自に取材、入手したものでJAF公式発表のものではありません。従ってJRCA以外から発表されるそれらのものと若干異なる場合や誤りのある場合もありますので、あらかじめご了承のうえ参考資料としてご覧ください。

ダイジェスト動画

イベントフォト

JN-1クラス優勝 新井 大輝/松尾 俊亮

JN-2クラス優勝 三枝 聖弥/船木 一祥

JN-3クラス優勝 長﨑 雅志/大矢 啓太

JN-4クラス優勝 西川 真太郎/本橋 貴司

JN-5クラス優勝 大倉 聡/豊田 耕司

JN-6クラス優勝 清水 和夫/山本 磨美